カエルの住む街ケール

posted : 2021/10/28

ケールを治めるのは、勇猛果敢なヒキガエル。
リーダーという愛称で、20年以上もの間、住民に親しまれている。
けれども、すべてのカエルに支持されているわけでもない。

ここから遠いところに、ケールと呼ばれるカエルの住む街がある。
若いカエルもいれば、年老いたカエルもいる。
アマガエルもヒキガエルも、あらゆるカエルがいる。

ケールを治めるのは、勇猛果敢なヒキガエル。
リーダーという愛称で、20年以上もの間、住民に親しまれている。
けれども、すべてのカエルに支持されているわけでもない。
豪放磊落な性格だったので、賛否両論は常にあり、嫌う人も一定数いた。
しかし、選ばれ続けてきたのには訳がある。
第一に、
街のカエルたちが住みやすいよう環境を整えた。
水をキレイにし、蛇などの天敵から身を守る方法も考え、住民の寿命を引き延ばした。
 
噂は付近の町村にも届き、
ケールのカエルの数は増えた。
ケールに住むカエルの多くは、
今の生活に概ね満足していた。
失言など問題も多いリーダーだったが、芯は誠実だったから住民の多くは、「いつものことだ」と笑った。

【ケールのリーダー】


 
リーダーを嫌うカエルは、若い世代に多かった。
他の場所より自由で安全に暮らせるようにしたのがリーダーの功績だと、若いカエルの多くは知らなかった。
あるとき、ケールの若いカエルのグループが、
合唱コンテストで優勝した。

メンバー全員で、
リーダーのところへ表敬訪問に赴いた。
しかしメンバーの多くは、
リーダー自身への報告よりも、その先にある御馳走や露出や称賛が目当てだった。
 
リーダー自身は音痴だったこともあり、ケール最大の催し物で優勝した音楽家たちを尊敬していた。
リーダーがメンバーの一匹に、賞品である金のコオロギを持たせて欲しいと頼むと、快諾してくれた。

【おいしそうな金のコオロギ】


 
住民の優勝に興奮したリーダーは、その金のコオロギを手にするやいなや、
悪ふざけでパクっとかじって見せた。
その話は、ケール中に瞬く間に広まった。
ケールに住むカエルの多くは、
「いつものことだ」と笑った。
が、これをチャンスと見た反リーダーのカエルは、
通称、正義のカエルに報告した。
 
正義のカエルは、リーダーの過去の失言などを掘り起こし、一緒に情報を拡散した。
当然、これまでの功績には触れない。
付近の町村だけでなく、内情をよく知らない遠い街にも、あっと言う間に知れ渡った。
 
「非常識だ」「失礼だ」「汚ない」「死ねばいいのに」など多くの声が、リーダーの元に寄せられた。
 
ケールの反リーダーのカエルも、

「よし、今しかない!」と、リーダーが作り上げた自由で安全な街ケールから、ここぞとばかりにリーダーを糾弾した。
かじられたメンバーの少数は、リーダーの功績を親ガエルから聞かされていた。
だから一連の騒動に悲しむ様子を見せた。
しかし正義のカエルは「嘘だ。内心は怒っているはずだ」と、信じなかった。

リーダーは、金のコオロギを弁償する羽目になった。
しかし、これまでの功績もあったので、ケールではそれ以上咎められはしなかった。
 
内情をよく知らない正義のカエルは、自分のおかげで弁償に繋がったと、ほくそ笑んだ。
そして今日も、誰かを傷つけることで、自分の存在意義を見出している。

【参考故事・孔翊絶書】

【掲載誌】ぶるーと通信vol.165販売サイト


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