
好きなタイプは『オッパイ星人』
武田幸三、安廣一哉、佐藤嘉洋による鼎談
この「1001kick.com」の前身は、2013年3月に、拙著『1001のローキック』の販促サイトとして発足し、寄せられた1001もの質問に答えるというシンプルなものだった。そして私のプロキックボクサー引退に伴い、フルリニューアルをしてもらった。それから3ヶ月。
更新数はそれほど多くはないが、良質な記事やネタをアップし続けているという自負がある。
9月のとある日、facebookのメッセンジャーから1通の知らせが届いた。K-1MAX時代に、よく映像の仕事で撮影してくれていた人だった。
「今度上京のタイミングみて、安廣(一哉)くんと一緒に飲みませんか?」
私は懐古趣味ではないが、たまには過去を振り返ることもある。
無駄に前ばかり見ていても痛々しい感じになるような気がしてね。
過去も振り返りつつ、未来に向かって進む。そんな感じで生きていたいのだ。
ちなみに、彼はひょっとしたら忘れているかもしれないが、私は安廣一哉との初めての出会いを今もはっきりと覚えている。それは2005年7月、K-1MAXの前日記者会見のときであった。
私はセミファイナルてヴァージル・カラコダと、安廣一哉は世界トーナメントリザーバーマッチでダリウス・スクリアウディスと対戦。このとき、私はK-1MAX第2戦目で初参戦だった5月に魔裟斗、山本KID徳郁の両名には挨拶済みだったので、他の日本人選手にも「初めまして」の挨拶をせねば、と思っていた。そこで、記者会見の控え室に安廣一哉と居合わせたので、声をかけたのである。
「安廣さん、初めまして。前回から出場することになった佐藤嘉洋です。一緒にK-1を盛り上げていけるようにがんばりますので、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。俺は、試合以外では選手同士仲良くしても全然問題ないタイプだから。タイミングが合ったらスパーリングして一緒に練習もしましょう。よかったら携帯の番号交換も」
佐藤嘉洋のWikipediaにも載っているが、この会話をキッカケに、彼と年賀状のやり取りをするようになった。その年賀状はなかなか個性的で、版画のような凝ったものだった。彼のとてもオープンな性格や他の格闘家にはないパッと明るい雰囲気が、私はとても好きなのだ。
今年の6月に武田幸三氏に引退の挨拶をしたとき、「今度一緒に飲もう」と誘ってもらっていた。「このタイミングしかないのでは!?」と思い、彼も今回の食事に誘ってみると、快い返事がきたのである。武田幸三、安廣一哉、佐藤嘉洋。間違いなくK-1MAXを彩ったメンツだろう。その三人が一緒に会う機会を得ることができた。
「これをプライベートの出来事で終わらせてはもったいないぞ」
私はすぐさま、ゴング格闘技の編集長へ連絡した。
「往年の格闘技ファン垂涎のメンツだと思います。読みたがる人もきっと多いのではないでしょうか」
編集長は快諾してくれた。しかも、この「1001kick.com」のメンバーにページの制作を任せてくれるという。つまり、カメラマン木村琢也、エディター柴崎卓郎、ライター佐藤嘉洋として。
このサイトの発足当時、金銭的な利益を得るのは来年以降に見据えていた。それより何より「大人の悪ふざけ」をテーマに各々が楽しみながらやっていこうという姿勢が大事だった。だから、こんなに早く、それが「仕事」にできたことが、私はとても嬉しかった。
松山編集長、感謝しております。
行動は起こしてみるもんだな。
皆の協力と、武田幸三、安廣一哉というファイトスタイルも違えば性格も違うお二方の意見を聞けたおかげで、とても良い記事ができた。キック界の現状、未来の展望などを、K-1MAXの光を燦々と浴び、そして今は少し離れた場所にいる者だからこそ得られた視点で語り合った。
ゴング格闘技の記事内では、4万字に渡る鼎談を1万字まで削った。
本当は笑える話もたくさんしたのだが、文字数の都合もあって(本当はあまりにもくだらなくて)カットせざるを得なかった。
「初回から、よく難しい鼎談を選びましたねえ」と、ゴング格闘技の編集長と先日打ち合わせしたときに話した。
うん、たしかに。構成になかなか苦労したのは事実だ。しかしながら、三者のこの笑顔の写真を見てもらえれば、どれほど楽しい会だったかが伝わるかと思う。
仕事って、面白くないこともあるし、つまらないな、辛いな、と感じることも、もちろんある。
しかしそういったことがあるからこそ、楽しんで仕事をした結果には、その楽しさが滲み出て、相手にも伝わるのではないだろうか。ということで、誌面には載せられなかった「とても楽しんだ会話」をここでひとつ紹介しておきたいと思う。
「幸三さん、昔答えていたインタビュー記事のことを覚えていますか。あのとき、変な解答してましたよね? 好きな女性のタイプは、と聞かれて、胸の大きな子と言うなら納得なんですが、あなたは『オッパイ星人』と答えました。そこのところ、どうお思いですか?」
「……」
寡黙な武田幸三は、黙ったまま、侍のような目つきで、私をじっと睨んでいた。
明るく生こまい
佐藤嘉洋 in 吉祥寺
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