ナレオ、ペキオと和解

posted : 2022/10/30

「ペキオは口で人を動かしとるだけだがね。営業現場ではオレの方が上さ」
 
完璧主義で付き合いづらいペキオを、ナレオはいつしか煙たがっていた。キリッとした眼鏡をかけたペキオは、他人のミスにも厳しいが、自分のミスにも厳しく対処していた。だから面と向かって文句も言いづらかった。

「一緒に仕事したときも、後からああしておけばよかった、こうしておけばとうるさいんだ」
 
ナレオとペキオは、今やこの会社にとって無くてはならない存在に成長していた。しかし立場はペキオが上だったからか、ナレオは疎ましく思っていた。ナレオの営業力が、ペキオを凌駕していたことも関係しているのだろう。仲間たちと飲みに行くと、ナレオはペキオへの愚痴をよく吐露していた。
 
「ふん、気に入らないぜ。オレの方が上のはずだ」
 
火のないところに煙は立たない。噂はペキオの耳にも入っていた。しかしペキオは反論せず、ナレオへの助言を控えるようにした。ある部下がペキオに尋ねた。
 
「好き勝手言われても言い返さないんですね」
「社内で不毛に争って得するのは、社外の者です。会社の利益を考えたら、争えません。私が黙って済むならそれでいい。ナレオには余計なことをしたようです」
 
ペキオは会社の利益を第一に考えた上で、ナレオに助言していたが、豈図らんや恨まれてしまった。
ペキオは落ち込んだが、態度には現さなかった。

ナレオはペキオに嫉妬していたが、自分たちの働く会社には大きな期待を寄せていた。なぜなら、世の中を一変させる貴重な情報を持っていたからだ。ある珍しい金属がもっと多く手に入れば、それは実現可能な段階にまで達していた。そしてある部下がナレオに伝えた。
 
「ペキオ先輩は、社内で争うつもりはないそうです。社外に弱みを見せたら、魑魅魍魎どもに情報を乗っ取られ、計画が頓挫し、悪用されかねないと」

ナレオは個人的感情で同僚を敵対視していたことを深く反省した。そしてそれが、会社の利益を損なうこととは思えなかった自分を恥じた。
 
思い返してみれば、ペキオは付き合いづらい同僚ではあったが、ナレオを貶めたことは一度もなかった。ただ、小言が多いのだ。それが積もり積もって恨み節になってしまった。
 
入社当初、ナレオは一人でいることの多かったペキオによく話しかけていた。毎回無表情で返答するにとどまっていたが、ペキオ自身は嫌ではなかった。
 
じきに、ナレオは話しかけなくなった。重箱の隅をつつくように助言をしてくるペキオから嫌がらせをされていると勘違いしたからだ。しかし、二人の間を取り持ってくれたある部下のおかげで誤解は解けた。
 

 
ナレオはすぐにペキオの下に向かい、これまでの非礼を詫び、頭を下げた。
 
「ペキオ、申し訳なかった。オレな……」
「いや、いいんです。気にしないで」
「ペキオは最初から目標に向かっていた。オレは目の前の個人的感情に囚われていた。盲目だったよ」
「気は合わなくとも、志を同じにはできるはずです」
「仲良くなればなるほど、どのみち気の合わないところも出てくるから、どれだけ許容できるかだ。オレは心を入れ替えるよ。改めて、今日からよろしく頼む」
 
ナレオが手を差し出した。ペキオも握り返した。ナレオは白い歯を見せ、ペキオは微笑を浮かべた。
それから二人は、終生固い友情で結ばれた。
 
「時の旅人計画も大詰めです。必ず実現させましょう」
「ああ、命がけでやるがね。邪魔してきたり、騙してきたりする連中が、外にはたくさんいるんだろ」
「敵はいないかもしれませんが、いると思って行動しておいた方が身のためです。人を無闇に信用して注意を怠るのは、表面を信用で覆った怠惰に過ぎません」
「前ならムッとするような物言いだけど、確かにその通りだわ。計画実現には、注意を払いつつ、勇気を持って前に進まないとな」

30センチ程度の長さの機械が、ある倉庫に多く保管され、箱から次々と出されていた。


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